不動産を購入したり、家を立て替えたり、相続したりする場合、「登記」を行う必要があります。この家は私のものですよ、ということを宣言するものです。
一般的には司法書士事務所にお願いして、書類を作成してもらい、然るべきところへ申請してもらいます。
・・・ただ、その「登記」は自分でも、個人でもできるんです。
目次
「登記」は自分の権利の主張!
登記には専門資格は必要ない
意外ですよね。
一般的には司法書士事務所にて登記手続き全般を代行してもらいます。本来は本人しかできない申請を各種代行してもらうために、委任状を書くわけです。これは委任、つまり頼んでいるだけ。逆に考えれば、自分ですることができるということなのです。
考えてみれば簡単ですよね。自分の権利・主張のための申請であるため、主張したい自分ができない制度では話にならない!ということです。
自分で登記する人は多い?
法務局のホームページにも”自分で登記”の案内
法務局のホームページでも自分で登記手続きをする方へという案内文があります。この案内があるということは、実態として個人でする方は多いということが想像できます。
登記申請は,申請人ご自身で行うことができます。
これは名古屋の法務局のサイト例。このように、各法務局のサイトでは個人の方向けの案内が多く掲載されています。
無料登記相談は予約でいっぱい
それでは、実際のところはどうなんでしょうか? ズバリ!法務局の方に直接聞いてみました。
「最近、個人で登記される人は多いんですかね?」(`・ω・´)
「結構いますよ。これじゃ司法書士は仕事がなくなっちゃうよなぁって言ってるよ」
・・・やっぱり結構いるのだそうです。
具体的割合はわかりませんでしたが、法務局には無料での登記相談受け付けが設けられており、専門家は相談しないでしょうから、利用者は個人と特定できます。そして、ある2つの法務局で登記相談の予約について伺ったところ、「本日は一杯です」と双方で言われましたから、大盛況のようです。自分で登記する人がいかに多いかが推測できます。
身近な人の話
実をいうと・・・
父が実家の家を建て替えたとき、不動産登記を自分でやったそうです。普通の会社員で法律の特別な資格はなかった人です。とはいえ、父はかなり細かい性格なので、書類書きが得意であったとはいえますが・・・
父の同級生に司法書士の資格をもった友人がいるのだそうですが、その友人からもこれぐらいは自分でできるもんだよと言われたそうで。
私はそれをあとからきいて、自分でできるんだ!やってみよう!という気持が強くなりました。
ありがとうお父さん!
登記を自分でやらない理由
専門家でもなく、自分で申請できる「登記」。なぜみんなは自分でやろうと思わないのかを考えてます。
- 専門資格が不要であることを知らない
- 登記というものは自分で申請するものではないと思っている
- なんとなく難しそう
- 多忙である、面倒である
私は1点目、2点目の考えの人でした。3点目は内容を知っている人、ちょっとやってみようと思った人でしょうか。4点目も同じ。
おそらくみなさんは私と同じで、1点目、2点目で思考が停止していると思われます・・・
人生における「登記」と出会うタイミング
多くの人が登記という言葉を身近に感じるのは、住宅購入時だと思います。
住宅購入の際、分譲であれば、販売する不動産会社から、「初期費用」のお見積りの中に登記費用が含まれていることが多いようです。
含まれていますと書いていますが、特に販売メーカー側の悪気はありません。住宅購入者がスムーズに入居できるように、最初に準備する資金はこれだけあるので注意してね、という案内内容になっており、販売側の親切心かと思われます。
ただ、この人生に一度かもしれない大きなイベントである住宅購入。ここで登記と出会ってしまうと、登記は自分でできるのか、という疑問すら持たないというのが一般的です。
住宅購入費用で金銭の想像力が麻痺
「初期費用」の中には住宅販売以外のところで引っ越し費用から何から合算して含まれています。また、住宅購入にかかる費用は1000万単位。そのほかにインテリアや家電を購入したりと費用が膨らむ傾向にありますよね。
そのため、5万円や10万円の初期費用の内訳は、正直頭のなかでの計算が麻痺しています。
そこには当然、司法書士への手数料代金が10〜20万円ぐらいは入っているはずです。
住宅購入はやることがたくさん
引っ越しを伴うので役所にいって住民票をとったり、ローンの契約を結んだり・・・いろいろやることが多い、ライフイベントとも言えます。
そのため、麻痺している頭のなかで、お金をはらって判子を押すだけ、という簡単な作業に人間は傾倒するんですね。ここで、自分でやれるのかな? と思う人は極小かと思います。
そうやって一度頼んでしまえば、抵当権設定解除申請なども、ずっとお世話になるという図式が出来上がります。
登記に向いている人、向いていない人
本テーマは個人的な見解です・・・( ゚∀゚)o彡°
向いている人
- 書類の作成が苦にならない人
- 平日に定期的に休みがとる人
向いていない人
- めんどくさい人
- 多忙な人、平日に休みがとれない人
なんか、向いている人と向いていない人の差が、否定形にしただけになっちゃいましたが^^;
書類作成が苦にならないこと
書類集めも含みます。登記の原因、きっかけによりますが、固定資産税評価証明や、住民票、戸籍謄本など、集める書類は多いのです。
また、集めた書類から、登記申請書を作成します。登記申請書の書き方サンプルは、法務局のホームページや、司法書士サイト、個人サイトにありますが、やや専門的ですので、書き方に戸惑う人も多いでしょう。
この普段使わないような書類作成が苦にならない人は向いているといえます。
ただし、とりあえず書きあげれば、無料相談でチェックしてくれる人が存在します。あまり深く思い悩まないこと。書類を集めて、間違っていてもいいので書き上げることが重要です。
少しだけ諦めないという忍耐力が必要でしょうか。
平日に何度か休みが取れること
忙しいサラリーマンには結構厳しい課題です。
住民票などの書類取得のためというのもありますが、一番重要なのは専門家のアドバイスです。書いた書類や集めた申請書類は、提出前に各法務局が主催している「登記無料相談」を利用してみてもらいましょう。
ただしこの対面無料相談、法務局の営業している平日だけなんです・・・また、完全予約制であることがほとんどのため近くの法務局へ事前に電話確認が必要です。
提出が郵送だったとしても、事前にみてもらうことで最終確認の意味もありますし、書類不備で再度法務局へ行くことを考えれば、リスクオフの面からもおすすめです。
無料相談を活用
申請書のサンプルを提供しているサイトは数多くありますが、あくまで一般例。登記はケースごとにことなりますし、戸建ての場合と所謂区分所有というマンションでは税金計算も異なります。税制がかわったり、不動産登記法が変わるなんてこともあります。
また、登記申請書を最終的にチェックするのは、その登記する土地・建物がある法務局になります。チェックする側の人たちに書き方を教えてもらうというのは一番間違いがありません。
ネットに点在するサンプルで一旦かきあげたら、それを申請するその他の書類とともに、書き方や申請書の過不足を確認してもらいましょう。
行くべきなのは、仕事帰りの最寄りではなく、登記する土地・建物がある地域を管轄する法務局ですよ!
私の実話でいうと・・・
ネットから書き方サンプルをかき集めて自分なりに記載したのですが、この書き方はこうでよいとか、この書類はこの場合は不要である等、無料相談ではとっても親切に教えていただき、はじめての登記でも安心することができました。
書類の閉じ方でもお作法があるようで、実際に相談しないとわからないこともあります。相談時に作成した書類一式をもっていったからか、その場で閉じていただけましたし、割印についてもアドバイスを頂戴できました。
割印って、不動産やローンとかの重要書類作成時にしか使わないので、普段は割印という存在を忘れていました・・・。
まとめ
資金に余裕があれば、いいのですけどね。
10万円前後を支払うということに少しでも抵抗がある方は、一度自分でトライしてみるのは有りです。やってみないとどれほど大変かはわかりませんから。
私のケースは少し特殊でしたので、具体例はのせませんでしたが、書類については税率計算だけ迷った程度で、他は難なく作成できています。それでも、チェックする人がみるとここはこうとか、ご指摘いただき修正したところはありますが(^^;) 指摘されれば直すだけなので、迷いはありませんからそこは楽です。